西洋占星術と聞いて・・・

　通常は西洋占星術と聞くと、多くの成人は
　　　　10代の恋占い
　　　　雑誌にのっている、あんまり当てにならない星座占い
　　　　女性誌が年に2度ほど特集するアレ
を思い浮かべられるのではないか。

一般に雑誌に掲載されている太陽星座占いは、非常におおざっぱなものだ。それも、生まれ月で区分していって、あたかもみんなに共通にあたるように書いている。だから、当たらずとも遠からず、といったことが書かれている。

しかし、あれは西洋占星術ではない。西洋占星術は、太陽系の惑星が天球上の何座にあるかを見て、その複雑な組み合わせの上で様々な判断を展開するものだ。太陽だけで恋を見るわけにはいかない。
太陽は、通常は単に自我を表わすものであって、太陽や月に加えて金星（女性原理）と火星（男性原理）が生まれた時にどのような状態だったか、さらに現在天空上にある星がそれにどのような影響を及ぼしているかを見て、初めて恋に至る心理などがわかる。
結婚をみたいなら、木星（儀式）や土星（固定）がどう関わるかも重要であり、恋と同じように見ることはできない。

こういったことは、西洋占星術をある程度ご存知の方、特に10代〜30代の女性の方々は、特に驚かないであろう。女性誌だって、火星と金星の位置くらいは特集に入れる。10年前と違って、現在の日本のちょっと大きな本屋には、けっこう専門的な本も並んでいるから、本式に占うとけっこう大変だということも知られているかもしれない。
様々なプロの先生方に見てもらって、「こういうことを占うなら、○×式の占いをする△□先生がいいわよ」といった情報だって流れているだろう。

でも、多くの人は占いにそこまで真剣にならないと思う。特集を読んで一喜一憂しても、その時限りか、ちょっと時々思い出す程度ではないだろうか。そして、それが普通の占いとの付き合い方だと思う。

　

きちんと付き合ってみようか

そういう付き合い方が悪い、などという話をしようと思っているのではない。その点はまずお断りしてから、先へ進めたい。

占いという言葉を聞いた場合、多くは「当たるも八卦、当たらぬも八卦」を思い出す。そして、当たらないことだってけっこうあるのだからそんな気にしなくても、いいことは信じて、悪いことは外れると思っていれば、たいていだいじょうぶ、ということだろう。
占い師のところへ行く人の多くは、自分が何かしたいと思っていて、それがうまくいくかどうかわからないので、最後にポンと背中を押してもらいたくて行く、というケースが多い。そういう意味では、確かにこの付き合い方は、自分の望みにあったものだ。

ただし、占い師は必ずしもその人の望みに適うような答えを出してくれないこともある。そうなると、悶々としたり、もっといいことを言ってくれる占い師のところへいってみたり、逆に「お金を無駄にしてしまった」と怒ってみたりすることになるかもしれない。
しかし、こういうことは、占いというものの考え方、原理、そしてなぜそのような答えが導き出されるのか、ということにまったく知識がないか、知識だけで頭がいっぱいになっているから起きてしまうように思える。いや、知識の有無が悪いといいたいのではなく、占いと楽に付き合う方法を知らないのだ。

では、たとえば西洋占星術で転職についてたずねるとしよう。もちろん、占い師は（きちんとした先生ならば）自分の持てる知識と経験の蓄積を活かして、最善の判断をしてくれようとする。
あなたはどうなのだろうか。本当に、自分で突き詰めるまで考えてみただろうか。たまたま上司がいやだ、というだけで転職を決意したりしていないだろうか。本当に自分のやりたいことがあって、それをよりよく実現できる場を見つけたいと願っての転職なのだろうか。自分に何ができそうで、何が苦手そうで、どうすれば克服できそうか、考えてみただろうか。
それは占い師の仕事だ、というなら、あなたは大事な自分の問題を、人の判断に委ねてしまったことになる。本当に大事な問題なら、自分で考えられる限界まで、問題点を紙に箇条書きにして、どこを突破口にすべきかまで、考えるものだ。そして、実はそこまで考える人は、占いを滅多にやろうとしないし、やったとしても、占いに「頼る」ことはなく、占いを「参考」にして、自分の強い点と弱い点を踏まえて、悪い点の指摘を受けても怒らず悲しまず、よい点の指摘を受けても奢り高ぶらない。
こういう人は、占いに限らず、様々な事柄とうまく付き合って、人生をより楽しく渡る術を知っているように、私には思われる。

これが難しいから、きっと占い師のところへ相談に行くのだろう。もしそうなら、人生をもう少しだけ客観的に眺めるために、占星術で使う１２星座や１０惑星などの分類方法を使って、わかりにく問題をどう明確にするか、ということを学んでみるだけでも、かなり見方が違ってくると思う。

私個人は、占いとは本来自分で自分を考えるための、客観化の材料になると思っている。これは、単に「自分を知る」とか「自分探しをして可能性を広げる」などというものとはぜんぜん違う。自分の中にある様々な要素、自分で気づいていないかもしれない要素に触れ、そこから起きる緊張や嫌なことからも目をそらさないことも含んでいる。
そして、さらに深く知れば、普通に考えている「自分」なんてものはないし、それが確固たるものだと考えること自体から様々な苦しみが生じていることもわかるに違いない、と思っている（このあたりの話は、また時間があったらまとめてみたいと考えている）。

そして、この文は、私自身への自戒でもある。